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トピックス

平成27年度 トピックス一覧

平成27年12月 TOPICS
冬場の健康管理

清水医院 平成27年12月 冬場の健康管理

 日に日に寒さが厳しくなってきています。これから、風邪やインフルエンザが蔓延する時期になりますが、今回は、冬場の健康管理について触れてみます。
 冬場は、気温が下がり、湿度が下がって乾燥傾向になります。このような環境では、インフルエンザなどのウイルスの繁殖環境になりやすく、また、気温の低下は血圧の急上昇を来しやすくなります。
 そう考えると、健康の秘訣は、以下のようになります。
 ①部屋の湿度を50%以上に保つこと(洗濯物を室内干しするなど、加湿器は頻回に水を交換しないとカビが繁殖する危険性があるので要注意)
 ②できれば、部屋の換気を1~2時間ごとにする
 ③風呂場の脱衣所で衣服を脱ぐと気温が低いと急激に血圧が上がりやすくなるために、脱衣所の室内温度を暖房の方向にもっていくことが大切でしょう。入浴前に風呂場の浴槽のフタを開けておくと、温かいお湯の蒸気がプレ暖房の効果を示してくれると思います。
 ④睡眠時間を、出来れば7時間確保すること(免疫機能を高める)
 ⑤要は、気温の乱高下を起こさないこと、湿度を50%以上にすること、もちろん、うがいや手洗いが大切であることは言うまでもありません。

平成27年11月 TOPICS
秋の果物 柿

清水医院 平成27年11月 秋の果物 柿

 朝夕は長袖が欠かせなくなってきました。食欲の秋もそろそろ終わりを迎えようとしています。今回は、コラム的な話になりますが、秋の果物、特に『柿』について触れてみたいと思います。
 柿には、甘柿やしぶ柿がありますが、食卓を囲んでのひと時を和ませる食材でもあります。しかし、ちょっとした落とし穴もあります。
 中年のご婦人ですが、朝方にくしゃみ、鼻水がでて仕方がなく、風邪薬を服用してもなかなか治らないとの相談でした。手足は冷たく、舌には水っぽい唾液が多く付着しており、尿の回数も多く、尿の色は薄く透明に近いものでした。風邪薬が効かない風邪?と思いきや発熱はなく咳は鼻水がのどに降りてきたときに出るくらいだとのこと。お腹は冷たく脈は弱い力のない脈で、体の中が冷えたための症状だと考えて、体を温める食生活を指導して様子をみました。すると徐々に鼻水は改善し、くしゃみも軽快してこられました。
 しかし、数日後、症状は再燃。一体なぜなのか???。よくよく話を聞いてみると、柿があまりにも美味しいので、たくさん食べすぎてしまいましたとのこと。柿は身を冷やすと昔から言われていますが、柿を食べるのを控えて頂くと症状が改善傾向を示しました。
 このことから、柿を食べすぎると体が冷えやすくなり、冷え症や風邪症状や冷えにまつわる様々な症状が起こりうると思われます。
 冷え症のかたは柿の食べすぎにはご注意下さい。そう考えると柿は、体を冷やす意味では暑がりの方には良いのかもしれませんが、これまた、くれぐれも食べ過ぎにはご注意ください。

平成27年10月 TOPICS
秋口からの健康対策

清水医院 平成27年9月 TOPICS</span><br>睡眠の大切さ編

 日に日に涼しくなってきました。長袖が朝夕に必要になってくることも多いようです。季節の変わり目は、気温、湿度、気圧の変化が目立ちます。その環境に体を上手く順応させることが出来ない場合や体の免疫力が低下気味になっていると風邪をひいたり、鼻炎やかゆみなどアレルギー様の症状が出やすくなるようです。そこで今回は秋口からの健康対策について触れてみたいと思います。
 私たちの体は、夏場の疲れを引きずって秋を迎えてしまうと、様々な身体的あるいは精神的症状を引き起こしてしまう可能性があります。部屋の空気もそうですが、長時間にわたり閉め切った部屋の空気は何となく息苦しくて、落ち着かないものです。特に、夜間は寝苦しいものです。しかし、昼間、窓や扉を開け放って、部屋の空気を換気すると、深呼吸しやすくなり体の違和感はなくなり、気分も爽快になります。
 これは、体の新陳代謝が改善されるからだと考えます。人は新鮮な空気を吸って、食事を美味しく頂き、その飲食物は消化管で消化吸収され、必要なものは体を維持するためのエネルギー源になり、不要なものは尿や便で体の外に放出されます。消化吸収された体にとって必要な三大栄養素(タンパク質、糖質、脂質)は、ビタミンミネラルや空気中の酸素の力を借りて、タンパク質はアミノ酸に、糖質はブドウ糖に、脂質は脂肪酸に分解されて、ビタミンミネラル、さらには新鮮な空気に含まれる酸素の力を借りて、エネルギーを産生することによって私たちの体の各臓器や器官の働きを維持するために使われます。
 この一連の流れを妨げるのが、不適切な食生活や運動不足、睡眠不足です。不適切な食生活や運動不足、睡眠不足は、体の新陳代謝のスピードを低下させ、様々な身体症状、精神症状を引き起こし、老化のスピードをアップさせてしまいます。
 そこで、秋口からの健康維持、増進のための秘訣は、食事、運動、睡眠をより理想的な状態にもっていくことです。
 まず①食事ですが、野菜根菜から食べて、肉魚、最後に炭水化物を食べる順番を守ること。食べたものをスピーディーに有効に利用できないと、過剰に摂取されたり、十分に利用されなかったりした栄養素が、ある意味でヘドロのようになった脂質や糖質が体脂肪になって肥満や動脈硬化の誘因になってしまいます。そうすると、血流が悪化したり、体が重だるかったり、気分が憂鬱になったり、不眠になったりしやすくなります。腹八分目がスピーディーに代謝されやすいので体に優しい食べ方です。ちなみに、ビタミンでは、ビタミンCはレモン、果物、緑黄色野菜で補い、ビタミンBは赤身の肉、ウナギなど、ビタミンEはゴマ、魚卵類など、クエン酸は、お酢の物から補うと良いでしょう。
 ②運動は、15~20分前後のゆっくり歩きの散歩、運動する時間がない方は部屋の掃除(畳や床の雑巾がけ、掃除機による掃除など)でも結構な運動になります。また、腹式呼吸は横隔膜の運動を促し結果的に内臓の血流を増やしますから、内臓脂肪の燃焼には有効です。腹式呼吸をやりながら、ゆっくりと散歩したり、掃除したりすると良いでしょう。血行が良くなると体の代謝がスピーディーになり、疲労回復、老化対策にも有用です。
  最後に、③睡眠ですが早寝早起きは言うまでもありませんが、出来れば日付けが変わる前には床に入りたいものです。体内時計のバランスを考えると、24時前にやすむことをおすすめします。また、入浴は出来れば寝る4時間前くらいに風呂に入ると夜間の頻尿傾向の方には良いようです。ちなみに、寝つきの悪いかたには腹式呼吸が有用なことがあります。4秒かけて息を吸って、8秒かけて息を吐き出す腹式呼吸は、自律神経のバランスをとってくれますから、入眠が上手くいかない方に有効な場合があります。
 健康の秘訣は、食事、運動、睡眠です。

平成27年9月 TOPICS
睡眠の大切さ

清水医院 平成27年9月 TOPICS</span><br>睡眠の大切さ編

 夏の台風も去り、秋の気配が肌に感じられる頃になりました。夏バテから解放されて、食欲の秋に入り、美味しい秋の味覚を堪能しすぎて眠気に襲われることも多いと思います。今回は、眠気、睡眠について少し触れてみます。
 眠気は体に休息を与えて下さいという睡眠に入る前の一つのサインだと思います。
 睡眠とは、私たちの日常において必ず必要な生理現象です。睡眠には私たちの①自律神経のバランスを調整して、昼間のアクティブな生活の副産物である②疲労代謝産物の処理を円滑に行って、翌日に疲れを残さないようにしてくれる働きがあります。さらには、睡眠には③胃腸の働きを正常化させて、④脳の機能を底支えして思考を円滑に行えるようにしたり、覚醒時の様々な出来事の記憶を整理して、脳に覚えこませる経理処理係のような働きもあります。そして、睡眠には、深い眠りの時期に、昼間の生活で疲労困憊して、弱ったり傷ついたりした体の各所の細胞に栄養や休息を与えて、⑤弱った箇所を修復してくれる働きがあります。丁度、メンテナンス係のような働きですが、その役割を担っているのが成長ホルモンです。睡眠不足になると成長ホルモンの分泌に支障をきたしてしまい、体の各所の体調不良を訴えるようになってしまうわけです。
 睡眠不足が慢性化すると、自律神経のバランスが崩れ、ホルモンバランスも崩れ、体の血液循環も乱れます。高血圧、脂質異常、高血糖、自律神経失調、うつ予備状態を引き起こす可能性があり得ます。頑張りすぎるほど、働かねばならない状況にある方も、睡眠だけは十分確保できるように、日常生活面での時間の配分を上手く行い睡眠に充てる時間は確保することも大切だと思います。出来れば7時間ほど確保出来れば良いのですが、、、。

平成27年8月 TOPICS
食事による夏バテ対策

清水医院 平成27年8月 TOPICS</span><br> コラム 夏バテ対策 食事編

 むしむしと湿度が高くなって、日照りが強いこのごろ、猛暑日が続いていますが、夏バテ気味の方も多いのではないかと思います。今回は、食事によって夏バテ対策がある程度は、対応可能な場合もありますから、少し紹介させて頂きます。
 以前のこの連載のトピックスで、人は体の中の温度を一定に保てるように、発汗や排尿や排便で体温を調節していると述べましたが、エネルギーのおおもとは食事です。この食事が十分に摂取されていなかったり、食べる食材が体の歪みを是正する役目に寄与できない状況であったり、体の中の温度が過剰に上がりすぎたり、逆に下がりすぎたりするとバテ症状が出てきて、だるさ、食欲低下、意欲の低下、頭痛、イライラ、不眠など様々な身体症状や精神症状が出現しやすくなってきます。夏バテの漢方製剤や健康食品もありますが、日常生活面での対応、まずは養生が要であると思います。

 そこで、夏バテに対する食事対策の基本は以下のようにまとめられると思います。
 ① エネルギーのもとになる動物性タンパク質、植物性タンパク質を食べる。
 ② その際には、ビタミンB、C、Eやミネラルを豊富に含んだ食材を同時に摂取することが大切。
 ③ 肉や魚などのタンパク質と野菜や根菜などの比率を、1:1.5と野菜や根菜の割合を多めにすること。
 ④ 体が熱いときには体を冷やす傾向のある夏場の野菜や果物を選択する、など。
 (ただし、かかりつけ医から、病状によって食材や食事の制限を受けておられるかたは、自己判断せず、必ずかかりつけ医師に相談することが大切です。自己判断は禁物です。)

 たとえば、
 1. 疲労物質の乳酸を代謝させるアスパラギン酸を含む、いんげんと炭水化物を代謝する際に関わるビタミンB1を含む豚肉のヒレなどがあげられます。この際、バラ肉は避けたほうが無難です。なるべく脂の少ない身の部分が好まれます。
 2. しその葉(殺菌作用や芳香作用、食欲増進作用)、ゴーヤ(ビタミンCタップリ)と豚肉のヒレに、ニンニク、ニラ、ネギなどをトッピングなど。
 (ただし、かかりつけ医から、病状によって食材や食事の制限を受けておられるかたは、自己判断せず、必ずかかりつけ医師に相談することが大切です。自己判断は禁物です。)

 ポイントは、タンパク質+ビタミンB、C、Eなど+ミネラルを少し涼しい風味で、風鈴の音を聞きながら風情あるシチュエーションで摂取すると、夏バテも徐々に回復すると思います。

平成27年7月 TOPICS
梅雨から夏場にかけてのシャワー入浴での注意点

清水医院 平成27年7月 TOPICS</span><br> コラム

 むしむしと湿度が高くなって、気分的にも憂鬱になりやすい時期になってきました。この時期は、蒸し暑さから解放されたいために、入浴でサッパリしたい気持ちになります。
 しかし、入浴に際して少し気を付けておいたほうが良いことがあります。
 それは、①必ず十分に換気をしながら入浴することです。ことに、シャワー浴では、水道水に含まれる塩素系の物質が気化してしまい、換気が不十分な密閉に近い空間だと、頭痛やめまいを引き起こしてしまう危険性が大きいと言われています。換気扇をまわすか、窓を開けるかなど、換気対策を十分行いながらのシャワー浴が望ましいと思います。
 次に、②しばらく使わなかったシャワーを久しぶりに使う時には、十分に換気をしながらシャワーの水を低温(通常の水道水の温度)で流しっ放しにして、徐々に温度を上げてからシャワー浴をすると良いでしょう。しばらく、旅行や出張などで留守をした後には、ホースの内腔にカビが繁殖してしまっている危険性がありますので、十分注意したほうが良いでしょう。しばらく使わなかったシャワーのホースの内腔には、カビが繁殖していることが多々あるので、まずは水を流しっ放しにして、カビを十分に流してから徐々に温度を上げていくことが望ましいでしょう。急に高温のシャワーを出してしまうと、カビが水蒸気とともに空気中に浮遊してしまい、吸い込んでしまうと、カビの菌による気管支炎や肺炎に罹患してしまう危険性があるからです。カビによる気管支炎や肺炎は厄介な病気ですから、シャワー浴の前には十分な換気を行いながら、シャワーの水を流しっ放しにして、徐々に温度を上げていくと、カビによる健康被害の危険性は低くなると思います。
 梅雨から夏場にかけてのシャワー浴の注意点について触れてみました。

平成27年6月 TOPICS
イライラを予防する食生活

清水医院 平成27年6月 TOPICS</span><br> コラム

 むしむしと湿度が高くなって、気分的にも憂鬱になりやすい時期になってきました。蒸し暑さも日々の慌ただしい毎日の生活に拍車をかけて、身体的精神的な不調を色濃くしているかもしれません。
 イライラしやすい、気分的にカッとなりやすい、疲れやすい、肩や腰が重だるくて痛い、睡眠がうまく取れなくなった、頭痛や頭重感がある、瞼が重いなどなど様々な身体症状や精神症状を訴えられる方が多いこの頃です。
 これらの症状は、西洋医学的な病態分類にあてはめてみると大きく3つに分けられると思います。それは、自律神経系内分泌系免疫系です。これを東洋医学的な分類項に当てはめてみると、に大別されます。自律神経系、内分泌系、免疫系の異常(気、血、水の異常)が様々な訴えとなって現われてきます。とくにこの高温多湿の時期にはイライラ感が強く出やすいように思います。
 そこで、高温多湿の時期を上手く乗り切るための食生活の面で、注意すべき要点をまとめてみたいと思います。まず、イライラが起こる要因として、

①.交感神経の緊張が高まりすぎた状態(気の異常)
②.血糖値の急激な上昇や低下状態(血の異常)
③.体のあちこちに浮腫みが生じた状態(水の異常)

に分けられると思います。具体的には、

 ではカルシウム不足が誘因になっている可能性があります。カルシウムは骨の老化予防のほかに神経の興奮を鎮めてくれる働きがあります。したがって、小魚(カルシウムを含む)とお酢の物がベターでしょう。小魚の南蛮漬けも一案ではないでしょうか。
 では、早食いやドカ食いしてしまうと急激な血糖の上昇がおこり、これは大変とインスリンが血糖の上がりすぎを防ごうと多量に出すぎて逆に血糖が下がりすぎてしまって、食べても食べても満たされない、いわゆるストレス食いに陥ってしまい自責の念にかられてしまうような場合です。ですから、血糖の上昇をゆるやかにする食べ方が大切で、以前のトピックスでも触れましたが、まず、野菜根菜を食べ、次に肉や魚などの動物性タンパク質を、最後にお米などの炭水化物を食べる食事の仕方です。くれぐれも避けて頂きたいことがあります。それは、忙しいとか、面倒くさい等の理由で、炭水化物(米やパンなど)だけですませたり、白砂糖をタップリ含んだ缶コーヒーや缶ジュースだけですませたりしないよう注意が必要です。こんな食生活をしているとイライラから脱却することは出来ません。
 では、胃腸に負担がかかる食生活を避けることです。夜遅く食べたり、早食い、ドカ食い、朝食を抜いて夕食をドカッと食べたりなど、胃腸に負担がかかる食生活をすると胃腸の粘膜が浮腫み、理想的な消化吸収が行われないため手足や顔が浮腫み、肩こりや腰痛、手足の重だるさが生じ、精神的に不安定になり、イライラし始めることが多いようです。そこで、腹八分目、夜食は避ける、野菜根菜→肉魚→炭水化物の食べ方に心がける、食後30分以内に15分程度の散歩をして、エネルギーの消費バランスをとることも一案でしょう。体の中の余分な水分が汗や尿や便などを介して排泄されて、全身のあちこちの重だるさや痛み、イライラ感が軽減されてくると思います。
 イライラ対策は、自律神経系、内分泌系、免疫系のバランスをとりやすい食生活面での一工夫を行ってみることも良いでしょう。

平成27年5月 TOPICS
貧血気味の方の食生活における一工夫

清水医院 平成27年5月 TOPICS</span><br> コラム

 最近、朝起きるのが億劫、肌が荒れやすい、爪がもろい、疲れやすい、肩や腰が凝って痛い、イライラしやすい、眠りにくいなどなど、様々な身体症状や精神症状を訴えられ、症状の根幹に鉄欠乏性貧血がベースにあって、自律神経失調症、不眠症などを併発している方が多いようです。
 かかりつけの医療機関で、適切な薬物治療が行われているにもかかわらず、なかなか症状の改善が得られにくい方も多々おられます。『適切な治療が行われているのに、何故なのか?』と、頭を抱えることがあります。
 しかし、そのような方の日常の生活パターンを、よくよく調べてみると、食生活の面において一工夫が求められる方が多いようです。今回は、鉄欠乏性貧血を伴う方の食事パターンにおける留意点の一端をご紹介させて頂きます。
 鉄欠乏性貧血の治療には、鉄剤の内服あるいは静脈注射が一般的ですが、長期にわたる内服や静脈注射は、胃腸障害や肝臓への負担の可能性が危惧されますから、定期的な医師の診察の下での加療が望まれます。しかし、適切な薬物治療にもかかわらず奏功しない例があるのも事実です。このようなケースでは、食事に問題点があることが予想されます。肉や魚などのタンパク源の摂取が不足しているケースや食事には気を配らず、サプリが食事代わりになってしまっているケースが多いようです。サプリは健康補助食品ですから、食事で十分に栄養素を補えない場合に、補助的に使用するもので、あくまでもある程度は食事を摂取していることが前提で、食事で補えない不足分の栄養素をサプリで補うことが良いでしょう。
 さて、鉄欠乏性貧血対策の食事について触れてみますが、食材の中に含まれる鉄分には肉、魚に含まれる鉄(ヘム鉄)と植物性鉄には野菜類に含まれる鉄(非ヘム鉄)があり、吸収の効率面からは、ヘム鉄のほうが体に吸収されやすいと言われています。したがって、肉系では、牛、豚、鶏などの肉類は、ドロッとした脂の部分を避けて、肉の身の部分を十分加熱調理して、食べたほうが良いでしょう。また魚系の代表は、かつお、あさり、煮干し、ひじきなどが有名です。ちなみに、レモンなどのビタミンCを十分含んだ食材と一緒に食べると鉄の吸収が効率的になると言われています。
 次に、植物性鉄が含まれる食材として、ほうれん草、大根葉などが有名ですが、コーヒーや緑茶と一緒に食べると鉄の吸収が阻害されやすいので、植物性鉄を含んだ食材を食べたあとには、緑茶やコーヒーは避けたほうが無難です。
 また、乳製品や小魚に含まれるカルシウムは骨を丈夫にするだけではなく、自律神経の安定にも寄与します。クエン酸を含む、お酢などと小魚の調理、たとえば小魚と酢の物の組み合わせは、骨や自律神経の安定にプラスになりやすいので、鉄欠乏性貧血のイライラ、不眠には、魚あるいは肉の身の部分とビタミンCの組み合わせ、もしくは、小魚の酢の物なども一案であると思います。
 いままで、具体的な、鉄欠乏性貧血にまつわるお話を述べましたが、あくまでも、胃腸の機能がへたばっていない状況下での話です。特に腸に負担がかかる食生活、古く使いまわした酸化した油で調理されたものや、カロリーの高すぎる食品の過食、甘いもの(特に白砂糖)の過剰摂取は避けたいものです。胃腸に負担のかかる食生活を是正し、偏った食生活を改めるように心がければ、医療機関から処方された適切な治療の効果が徐々に実感できるのではないでしょうか。良い食材を十分に我々の体の中に取り入れて、血や肉に変換させるためにも、胃腸の機能が整っていることが先決問題だと思います。

鉄欠乏性貧血の食生活面でのポイント

肉、魚に含まれる鉄と野菜類に含まれる鉄。
肉系では、牛、豚、鶏などの肉類は、肉の身の部分を十分加熱調理。
魚や肉をレモンなどのビタミンCを十分含んだ食材と一緒に食べると鉄吸収がアップ。植物性鉄を含んだ野菜は、緑茶やコーヒーとの組み合わせは避ける。
小魚と酢の物の組み合わせは、骨や自律神経の安定にプラスになりやすい。
鉄欠乏性貧血のイライラ、不眠には、魚あるいは肉の身の部分とビタミンCの組み合わせ、あるいは、小魚の酢の物なども一案。
サプリは、あくまでもある程度は食事を摂取していることが前提で、食事で補えない不足分の栄養素を補う場合の使用が理想的。
胃腸に負担のかかる食生活を避け、胃腸の機能が整っている場合に食養生の効果がアップ。

平成27年4月 TOPICS
肥満になりにくい食事の仕方

清水医院 平成27年4月 TOPICS</span><br> コラム

 お花見の季節になりました。公園や遊歩道などには桜の花が咲き乱れ、ほっとさせられ、お花見をしたくなる気分にもなります。春と秋は食欲が増す時期でもありますが、ちまたでは肥満にならないようにと、健康補助食品を求めておられる方々が多いようです。
 しかし、健康補助食品に肥満対策の活路を求める前に、まずは自分自身で出来る手軽な肥満対策を行ってみることをおすすめします。肥満傾向の方は、食事の際に、血糖値が急速に上昇しないようにする食べ方をする。急に血糖が上がると血管内皮にダメージを起こしやすいと言われていますし、急激な血糖上昇はインスリンが過剰に出てしまい、逆に血糖が下がり気味になりやすいため、空腹感が襲ってきてまた食べてしまう、負のスパイラルに陥ってしまい、食べても食べても満腹にならず、結果的に肥満になってしまうのです。ゆっくり噛んで、野菜根菜から食べるように。
① 血糖が上がりすぎたために起こる弊害をビタミンCなどが予防すると言われています。ですので、最初に野菜や根菜を十分食べて、その後にお肉や魚を食べ、最後に炭水化物(お米など)を食べるほうが良いでしょう。みそ汁などの汁ものは、野菜や根菜を食べた後が良く、果物は食事の最後が望ましいです。
② 食べるスピードは、ゆっくり噛むことをお薦めします。ゆっくり噛めば、急速な血糖上昇も起こりにくいようです。
③ 食べムラを作らないようにする。たとえば、ある日には、一日に1~2食の食事を抜いてダイエットして、その次の日には食べてしまうような食べ方をする方がおられますが、このような、食べ方は極力避けてください。食事を抜いた翌日は、リバウンドで過食傾向に陥ってしまいますから。毎日、きちんと食べる習慣をつけることが要です。
④ 若い方に多いようですが、お昼をコンビニの菓子パンとコーヒーだけで済ませる方が多いようですが、菓子パンとコーヒーだけだと急激に血糖が上がり、そのあとは①で触れたように満腹感が得られにくく、午後のちょこちょこ食い(過剰な間食)に走ってしまう危険性があります。このような場合には、お昼に野菜サラダをしっかり食べたあとに菓子パンを少し食べるのも一案かもしれません。 それと晩御飯までお腹がすいて我慢が出来ない方は、夕方に野菜サラダと小さなおにぎり一つくらいで軽く補食をすれば、晩御飯でのドカ食いの予防につながります。
⑤ 意外と知られていないのですが、睡眠不足がつずくと、慢性ストレス状態になってしまっていることが多く、食欲を高めるホルモンが出すぎて過食になってしまう危険性がありますから、睡眠時間は確保するように心がけてください。
⑥ もちろん適度な運動、たとえば20~30分の散歩が望ましいですが、時間がない方や雨天で屋外に出られない場合には、部屋の中の掃除など、これも運動になって余剰なカロリーを消費させてくれます。要は体を動かすことです。手軽に出来る肥満対策の一端について触れてみました。

平成27年3月 TOPICS
花粉症を含めた鼻アレルギーと食生活

清水医院 平成27年3月トピックス 花粉症対策

 梅の花が咲きはじめ、春の到来を肌で感じることが出来るこの頃ですが、毎年この時期になると花粉症をはじめとした鼻のアレルギー症状に悩まされる方が多いようです。くしゃみ発作や水様性鼻汁、鼻閉(鼻づまり)が主な症状ですが、人によっては眼のかゆみや充血などアレルギー性結膜炎も併発して、この時期は、花粉やPM2.5などによると思われる鼻や眼のアレルギー症状のため、医療機関を受診なさる方が多いようです。抗アレルギー剤をはじめとした西洋薬や様々な漢方薬が試みられても、患者さん方の笑顔がなかなか得られにくい場合もあります。
 このような方々に共通していえる問題点は、トピックスの欄で以前も少し触れましたが食事摂取の時間帯がバラバラであったり(特に夜食をする方に多い印象を受けます)、よく噛まずに早食いする傾向があったり、冷たいものを過剰に摂取したり、甘いものを食べ過ぎたり、使いまわしをした油で調理したり、知らず知らずのうちにカロリーの高い食品を好んで食べていたり、炭水化物の過剰摂取の傾向があったりなど、胃腸の働きに負担がかかりやすい生活習慣の方が多いようです。また、最近つくづく思うのですが、ミネラルやビタミン類(ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB、ベータカロチンなどのスカベンジャー)が不足している方が非常に多い傾向にあります。端的に言うと、野菜類や根菜類やキノコ類、さらには四季折々の果物類が不足していることです。スカベンジャーとは抗酸化作用といって、体の中にサビを作りにくくする、老化を抑制する、アレルギー傾向になりにくくする可能性を秘めたものです。ちなみに、砂糖入りの缶ジュースにビタミンCが入っていますが、そのビタミンCは缶の内部が酸化しないように入れてあるだけですから、缶ジュースをのんでビタミンCを補充すると考えるのは間違いです。ビタミンCは、野菜や根菜、果実類などから摂取することが大切です。
 花粉症のため、内服や点鼻薬などの西洋薬に漢方薬を併用しても、なかなか花粉症の症状が改善しない方に、日々の食生活の現状を調べてみた結果、白砂糖、炭水化物、古い脂を使った食材の摂取頻度が高く、野菜、根菜、キノコ類、果実類の摂取頻度が低い傾向がありました。そこで、心がけるポイントは白砂糖を黒砂糖に変えて、古い脂を使わないように心がけ、野菜、根菜、キノコ類、果実類を心がけて摂取するように努めると、花粉症の症状が軽減されるようです。腸内細菌を含めた腸内環境が正常化すると、免疫機能が是正されているのではないかと推測します。花粉症を含めた鼻アレルギーから卒業するには、食生活面での心がけが何よりも大切であると思います。

平成27年2月 TOPICS
頭痛もいろいろ

清水医院 平成27年2月トピックス 頭痛もいろいろ

 まだまだ寒さが厳しく、風邪やインフルエンザが蔓延しています。睡眠を十分にとり、うがいや手洗いをこまめに行うことで春を迎えたいものです。さて、今回は頭痛について少し触れてみたいと思います。
 頭痛にはいろいろ原因がありますが、頭痛発作が頻回な場合や、症状が強い場合、慢性化する場合など、いつもと違うなと感じたら、自己判断せず、一度は専門の医療機関でCTスキャンやMRIなどの検査をお受けになって、頭痛を引き起こす原因が潜んでいないか必ず専門医の診断と指導をお受けになることをおすすめします。
 しかし、専門の医療機関で精密検査を受けて異常がないと診断されても、なかなか頑固な頭痛が改善しない場合もあります。そのような頭痛の中で、意外なところに頭痛の引き金になっているものがあります。そのなかで、今回はいくつか述べてみたいと思います。
 その一つが、です。枕の高さが高すぎる、あるいは低すぎる場合です。寝ている間に頸の筋肉に過剰な負荷がかかってしまっていることが引き金になっている場合があります。枕の高さを調整することも一案です。
 次に、上顎と下顎の歯のかみ合わせが合っていない場合です。かみ合わせが悪くなると、顎関節に違和感や痛みが生じたり、顎や頸の筋肉に過剰な負荷がかかって頭痛が起こる場合があります。歯科医院を受診なさって、歯のかみ合わせを調べて頂いて、もし噛み合わせが悪ければ調整して頂くと頭痛が改善することがあります。
 それと、視力です。眼鏡やコンタクトの状態が合っていない場合です。思い当たる節がある方は、眼科を受診なさって視力検査や眼底検査など、眼の調子について、眼科専門医にご相談なさると良いでしょう。
 最後に、冷えが原因の頭痛です。体の中が冷えすぎて頭痛が起こる場合です。体を温める食材を多めに食べたり、手足や躯幹の防寒対策を行いながら様子をみて、それでも改善しない場合には、温泉療法や漢方製剤をはじめとした薬物療法を行う場合もあります。
 脳外科や神経内科など、専門医による精密検査で異常がないと言われても、なかなか頭痛がおさまらず、頑固に続く場合には、日常生活の中でのちょっとしたところに、頭痛の引き金が隠れていることもあります。

平成27年1月 TOPICS
食の重要性

清水医院 平成27年1月トピックス 食の重要性

 新たな年を迎えるにあたって、食事、食材を含め自然界の持つパワーについて触れてみたいと思います。私は日々の診療において東洋医学、特に漢方医療を併用した診療を行うことが多いです。西洋医学的治療に漢方治療を併用した場合、治療成績が向上することは多方面の報告でも知られていますが、漢方治療の併用が全ての患者さんに対して、上手くいくとは限りません。
 たとえ漢方治療を併用しても、なかなか治療成績が出てこないケースもあります。一例をあげてみますが、イライラしやすく、生理前の体調不良が激しい、体がきつく、頭痛が頻繁で、肩こりが強く、爪がもろい、むくみやすい、皮膚が乾燥しやすいなど、さまざまな訴えがあり、内科、皮膚科、産婦人科などの多くの診療科に関連した訴えの方が時々おられます。さまざまな診療科の検査、治療をお受けになられていても、治療効果が今一つで、たとえ漢方治療を追加しても効果が今一つの場合もあります。そのような方の食事、生活スタイルをよくよく調べてみると、偏食気味で、鉄欠乏性貧血やタンパク質不足傾向の場合があります。この問題点に対して、食事指導を行うことは大切なことです。鉄分の多い食材を、植物性、動物性タンパク質を、またビタミンC、ビタミンB系統の含まれる食材を、ミネラルの豊富な食材などを、ケースバイケースで補って頂くよう食生活の面において心がけて頂き、栄養状態の歪の是正を行っていくと、徐々に多愁訴が改善されて行き、今お受けになっている治療の効果が出てくる場合もあります。つまり、薬の効果を引き出すには、栄養バランスの確保、維持が要になると言うことです。
 車にたとえると、タンパク質や鉄分、糖質、脂質などはエンジンやタイヤなどのパーツを構成するものに相当し、ビタミンやミネラルなどは目には見えないけれども電気系統的な役目を担っているのではないかと思います。不足したものを、食を通して補い、それを上手く機能させるには、タンパク質、鉄分、脂質、糖質、さらにはビタミンやミネラルなどが不可欠だと思います。
 偏った食生活の是正は、今受けている治療の効果を向上させうる重要なポイントだと思います。食の偏りの是正こそが治療効果を向上させる鍵だと思います。昔の人は、食こそ命とよく言われたものです。栄養学的なバランスがある程度、キープされるように心がけたいものです。