
コロナ感染症の流行以降、慢性的な疲労感が抜けなくて生活の質が低下してお悩みの方が多いようです。朝起きるのがしんどい、学校や会社に定時に間に合わない、一日中だるさや眠気に襲われてやる気が出ない、食欲の低下や嗜好が変わってきた、漠然とした不安感に襲われることがある、熟睡できないなど様々な身体症状や精神症状に悩まされておられる方が多いようです。
これらの症状を訴えられる方にしばしば見られるのが腎臓の上の方にある小さな臓器なのですが副腎という臓器があります。副腎は身体の免疫機能に関与していて副腎皮質という部分からコーチゾールというストレスから身体を守る抗ストレス作用を持ったホルモンが分泌されています。
このコーチゾールは抗ストレス作用以外に、炎症を抑える作用、血糖上昇作用、日内変動調節作用があります。
しかし、無理な生活を続けているとコーチゾールの適正な分泌に乱れが生じてしまいます。たとえば、暴飲暴食、不規則な食生活をくりかえしていると血糖の調節障害が起こり高血糖や低血糖を繰り返してしまい疲労感や不安感が起こってきます。運動不足や食生活の乱れが続くと脂肪肝や通風、慢性咽頭炎などの慢性炎症体質に陥ってしまう危険性があります。過度な運動や睡眠不足は慢性ストレスを形作ってしまい抗ストレス作用が弱まってしまい精神的に不安定に陥ってしまう危険性があります。また、寝る前のスマホ閲覧や夜更かしは睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を損なってしまい体内時計に乱れが生じてしまい日内変動調節が出来にくくなってしまいます。
結果的に、コーチゾールが本来有する人の健康維持や増進に資する素晴らしい効果が低下してしまい、逆に体にとってマイナスに働き始めてしまいます。
慢性的な疲労感から抜け出すコツは、いたってシンプルです。食事、運動、睡眠について少しずつでも、できる範囲から改めるべき点があれば改めていく第一歩を踏み出すことだと思います。一歩踏み出せば、新たな気づきと共に疲労感の軽減が体感できると思います。確かに薬が必要な場合もありますが、食事、睡眠、運動といった養生が基本であると思います