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トピックス

令和5年度 トピックス一覧

R5年12月 TOPICS
季節の変わり目、自律神経の乱れにご注意を

清水医院 今月のコラム

ここ北部九州においても、寒さが肌身に感じられる季節になってきました。毎年、季節の変わり目、具体的には寒暖差が大きくなる時期ですが、この季節は自律神経の乱れが生じやすく様々な身体症状、精神症状が出やすくなります。頭痛、肩こり、めまい、蕁麻疹、不眠、イライラ、寒暖差による鼻炎など年齢性別に関係なく自律神経の乱れに伴う諸症状が生じやすくなってきます。
これら自律神経の乱れを来しやすい方にはある傾向があるようです。具体的にその誘因と対策について述べてみたいと思います。
1.睡眠の質が悪い方(入眠障害、熟眠障害):できれば日付が変わる前までに寝ることと入眠前はスマホなどのブルーライトを見ないこと。質の良い睡眠は自律神経の乱れを改善してくれます。
2.胃腸に負担が多い食事(アルコール、甘いもの、辛い物、脂っこいもの、冷たい物)を過度に摂取している方:胃腸の粘膜に負担をかけてしまい、十分に消化吸収が出来ず必要な栄養素が足りなくなって自律神経の乱れを来すので、これらの食材は控えること。さらに、毎日排便する習慣をつけること
3.座って仕事をする時間が多く、適度な運動が足りない方(血液循環が停滞しやすくなるため):休み時間や食事後にラジオ体操や早歩きを数分でも行うと良いでしょう。
4.薄着傾向の人や手首、足首が冷える方(血液循環不全に陥りやすいため):5本趾の靴下、ルーズソックス、アームウォーマー、スカーフあるいはハイネックを着用して冷え対策を行うと自律神経のバランスが整いやすいです。
これらの対策を行うと寒暖差に伴う自律神経の乱れによる様々な症状の予防につながると思います。それでもだめならば、かかりつけの先生にご相談なさると良いでしょう。皆様方お一人お一人、セルフメディケーションにつとめられることをお薦めします。

R5年11月 TOPICS
健やかに毎日を過ごすために ~行動のすすめ~

清水医院 今月のコラム

 今回は健やかに毎日を過ごすためのポイントをまとめてみました。そのためには、少なからず心身のバランスと適正な腸内環境が保たれていることが肝要かと思います。具体的には、①自律神経のバランスがとれていること、②良質な睡眠が確保されていること、③日々の適度な運動がなされていること、④朝昼晩の食事が摂取され、適正な腸内環境が保たれていること、⑤日々排便排尿があること、⑥入浴の習慣が維持されていること、⑦考えていることを少しでも行動にうつすこと、以上の7つがポイントであると思います。

①自律神経のバランスがとれて初めて苦痛や不安などが少ない生活が送れます。自律神経のバランスに関わる要因として、睡眠運動食事排泄入浴が挙げられます。これらの状況が適切であることが望ましいです。

②良質な睡眠を得るには、できれば日付が変わる前までには寝る習慣をつけることです。午前0時から午前4時までは身体の弱った部分の機能を回復させる時間帯だからです。寝る前のスマホやパソコンはブルーライトの影響で脳の温度が上がってしまって入眠、熟眠の妨げになりやすいので、寝る前にはブルーライトを浴びないよう注意したいものです。

③日々の適度な運動は、血液循環を改善させ疲労回復につながります。また、朝日光を浴びながらの10分程度の散歩体内時計の調節が可能となり質の良い睡眠をもたらしてくれます。

食事は日々の生活の活力源です。血糖の乱高下を起こす食べ方をすると自律神経のバランスが乱れますから、野菜⇒肉魚⇒炭水化物の順番が望ましく、果物やお菓子類は食後に食べてその後少し体を動かす(ラジオ体操など)と血糖の急上昇を予防できます。

排泄も自律神経のバランスに関わっています。便秘気味だと腸内環境が乱れ、毒素がたまりやすくなり肝臓での解毒作業に負担がかかり自律神経の乱れを引き起こし、頭痛やめまい、だるさ、湿疹や蕁麻疹などの誘因にもなり得ます。なかなかお通じがつかない場合は、朝起きてすぐコップ半分くらいのおさ湯を飲むのも一案です。

入浴は血液循環を改善させてくれます。38℃~40℃くらいの中温入浴が自律神経のバランスには良いようです。寝る2時間前までには入浴を終わらせると良いでしょう。寝る直前の入浴は交感神経を興奮させてしまい、不眠の誘因になりやすいのでご注意ください。

行動に移すこと、これが要です。健康に良さそうだと頭では理解していても、なかなか実行にうつせないことが多いようです。頭であれこれ考えていると不安しか生まれません。今日できることを少しでも行動に移してみると、不安が減り自信が少しずつ芽生えてくると思います。この自信の積み重ねが健やかに毎日を過ごす鍵であると思います。

焦らず急がず少しずつ、試してみるのも良いのではないでしょうか。

R5年10月 TOPICS
イライラしてお腹が張って困った場合の対処法 その2

清水医院 今月のコラム

 前回は、イライラがつよくてお腹が張って困っている場合の対処法を概説させてもらいましたが、今回は少し具体的なお話をさせて頂きます。
 胃腸への負担を軽減することが要です。胃腸にガスがたまりやすくなる可能性がある食材、例えば調子が悪くなる前に日々食べていた食材の摂取の間隔を少し間をあけるとか、同じ食材の連続連日の摂取を避けることが望ましいでしょう。例えば、お肉中心であれば、野菜料理や魚料理を入れてください。また、お肉でも、豚肉、鶏肉、牛肉をローテーションにするとかも一案です。
 次に、消化酵素が少ない場合です。特にタンパク質や脂質の消化に必要な消化酵素が少ない方が多いようですので、かかりつけの医療機関で消化酵素の必要性についてご相談なさること良いでしょう。
 また、乳酸菌や酪酸菌などの腸内細菌のなかの善玉菌を増やすことも一案です。特に、植物性の発酵食品がお薦めです。ぬか床を使用した発酵食品も良いでしょう。
 睡眠の質が良くなれば腸内細菌を含めた腸内環境も良い状態に近づきますので早寝早起きがお薦めです。また最近なかなか症状が取れない方に、ピロリ菌感染が関連しているとの報告もあり、かかりつけ医でご相談なさることも一案です。

R5年9月 TOPICS
イライラしてお腹が張って困った場合の対処法

清水医院 今月のコラム

 最近、イライラがつよくてお腹が張って困っているという方が多いようです。消化器内科でいろいろ検査を受け、特に問題はないけれども、精神的なものではないかと指摘され、イライラやお腹の張った感じが続いて困っているという方からのご相談が多いです。コロナ禍が未だに持続していることも一因なのでしょうか???
 さて、このような方に共通して見られることがあります。それは、交感神経の過緊張のため胃腸の動きが弱ってしまっていること、次にカフェインの摂りすぎで交感神経を緊張させてしまう、さらには腸内環境を悪化させてしまう食生活が挙げられます。これらの問題点にもし該当するのであれば、食習慣を改善させることでイライラやお腹の張りが治まることも期待できると思います。
 具体的には、
 1. コーヒーなどのカフェイン含有した食材の過剰摂取を避ける。カフェイン過剰になると交感神経が緊張しすぎて胃腸の動きがわるくなりやすいため。
 2. 糖質の摂りすぎを避ける(お菓子類、糖質の入った清涼飲料水、果物の摂りすぎは、血糖の乱高下を来してイライラを引き起こしたり、腸内細菌のバランスが乱れてしまい過剰なガスがたまりやすくなったりするため)
 3. 小麦製品の過剰な摂取を避ける(パン類や麺類の小麦に含まれるグルテンが腸の粘膜を刺激して腸内環境を悪化させてしまう危険性があるため)
 4. 乳製品の摂りすぎを避ける(乳製品に含まれるカゼインはグルテン同様、消化酵素では十分に消化できないため、腸の粘膜を刺激して腸内環境を悪化させてしまう危険性があるため)
 5. 過剰なアルコール摂取を避ける(腸内環境を悪化させてしまう場合が多いため)
 6. 使いまわしをした油(酸化した油)で調理されたものは避ける(油が酸化しているため腸の粘膜を刺激してしまい腸内環境を悪化させてしまうので)
 イライラやお腹の張りがある場合は、これらの食材をしばらく控えてみると症状が改善することがあります。医食同源と昔の人が言っていることそのものではないかと思います。

R5年8月 TOPICS
不眠

清水医院 今月のコラム

 今回は不眠について触れてみます。最近、若年層から中高年層に至るまで、幅広い年齢層に不眠でお悩みの方が多いようです。ライフスタイルの近代化の影響があるのかもしれません。
 不眠に対して、様々な薬剤の開発が進み良好な成績が得られています。しかし、服薬をやめてしまうと再発してしまうケースも多いようです。当院では、西洋薬に治療抵抗性のあるケースに漢方製剤を併用する、人によっては漢方製剤へ変更するケースがありますが、これまた休薬すると再発してしまうケースもあります。これは、薬物治療はある意味、症状を軽快、消失させるには非常に有効ですが、不眠が起こる場合、何かしらの原因があると思われます。その原因と思われる点に対処しないと再発してしまうようです。
 近年、ライフスタイルの変容により、生理的な睡眠サイクルに乱れが生じていることがあります。ザックリ言って、通常は朝から交感神経が優位に働き、夜から翌朝までは副交感神経が優位に働きます。眠気が来る頃には、深部体温を下げる方向になり、脳の温度を下げることによって眠りやすくなります。したがって、寝る頃に、脳の温度が上がってしまうような行動は極力避けることが望ましいと思います。
 具体的には、①寝る前の入浴、あるいは寝る前にジムなどに行って運動してしまうと脳の温度が上昇して交感神経が興奮して眠りにくくなる、
 ②寝る前のスマホやタブレット使用は昼間の光の波長を浴びることになりますので脳を昼間モードに切り替えてしまうので交感神経が興奮してしまい眠りにくくなってしまいます。入浴、運動、スマホやタブレットの使用は、いずれも寝る2時間前までに終わらせておいた方が良いでしょう。
 ③さらに、先月のトピックスでも触れましたが体内時計の調節も必要です。朝起きておひさまの陽を浴びながらの散歩やラジオ体操などにより、体内時計がリセットされて一日の自律神経のバランスが整います。また、朝ごはんをきちんと食べると体内時計の微調整が可能になります。
 薬物療法に加えてライフスタイルの修正も不眠症対策には欠かせないと思います。

R5年7月 TOPICS
朝ごはん

清水医院 今月のコラム

 今回は朝ごはんについて触れてみたいと思います。朝ごはんを食べると、朝ですよ!と体内時計を一日の活動準備状態に持って行ってくれます。顔を洗うと朝を迎えた実感が出るのと同じようなものだと思います。
 次に、栄養的に見て、毎朝お米を少しでも食べる習慣をつけることはエネルギー源の確保の意味以外にビタミン、ミネラル、食物繊維成分の補給にも意味があります。最近は玄米食が注目を浴びていますが、玄米は白米に比べビタミンB群鉄、マグネシウム、食物繊維成分が入っているため白米よりも栄養的にリッチな状況であると思います。いつも申し上げることですが、食事の順番は、野菜→魚や肉→米→(フルーツ)が望ましく食後は軽い運動をすると血糖値の急上昇を防げます。
 また、お米アレルギーの方は米の摂取は控えなければなりませんが、お米、特に玄米の場合は、よく噛まないと胃腸に負担が出てしまうので要注意です。また、カリウムなどのミネラルが多いので腎臓病の方や腎機能が低下している方はかかりつけ医に必ず相談してください。朝起きておひさまの陽を浴びながらの散歩やラジオ体操などは、体内時計がリセットされて一日の自律神経のバランスが整い、朝ごはんをきちんと食べると体内時計の微調整や元気に穏やかに一日が過ごせると思います。忙しい朝の時間帯ですが、朝ごはんは抜かずに食べましょう。

R5年6月 TOPICS
不定愁訴とビタミンB群

清水医院 今月のコラム

 コロナ感染症が2類から5類に変わって以降、人々の往来や活動性が高まってきました。そのような中で、眠れない、気持ちが沈む、漠然とした不安感がある、寝ても寝ても疲れが取れないなど様々な身体的精神的な訴え、不定愁訴が増えてきた感じがします。これらの症状の背景にビタミンB群の不足状態が指摘されています。
 そこでビタミンB群の身体の中での役割とビタミンB群が不足してしまう誘因について触れてみます。ビタミンB群の役割は、あらゆる酵素の補酵素としての役割やエネルギーを産生するミトコンドリアの機能を高めるのに不可欠、そして脳内ホルモンとして有名なGABA, 幸せ感を実感するのに不可欠な幸せホルモンであるセロトニン、ドーパミン、オキシトシン、睡眠に不可欠なメラトニンなどの脳内ホルモンの生成に欠かせないものです。また、血糖値のコントロールや老化促進のリスクを有する酸化や糖化を抑制して老化にブレーキをかけてくれるのに欠かせないものです。
 ビタミンB群が不足する誘因として考えられるものは、○アルコールの多飲、○コーヒー、紅茶などカフェインの過剰摂取、○酸化した脂を含むレトルト食品やインスタント食品、スナック菓子をよく口にする、○血糖の乱高下を来すドカ食い、早食い、甘いものや果物をよく食べる、○活性酸素を過剰に生んでしまう喫煙、○いつも座っていることが多い、あまり体を動かさないなど血流停滞は活性酸素を生じやすくなる、○肉や魚、卵を嫌って食べないと低タンパクになりやすい、○睡眠時間が短い(6時間未満)と過剰な活性酸素が生じやすいが挙げられます。  これらのことは、血糖値の乱高下や交感神経過緊張を引き起こし、過剰な活性酸素がビタミンB群を破壊してしまい、様々な身体症状や精神症状を引き起こしてしまうのです。ビタミンB群を破壊しないような養生が不定愁訴の予防には不可欠です。

R5年5月 TOPICS
コロナウイルス感染の後遺症(続)
倦怠感について

清水医院 今月のコラム

 コロナウイルス感染症後の後遺症の概略について前回のトピックスで紹介させて頂きました。今回は、コロナ感染後遺症のなかでもしばしば見られる全身倦怠感についての対応について私見を述べさせて頂きます。倦怠感を東洋医学的にみると、★胃腸の働きの低下(脾虚)、★自律神経のアンバランス(肝鬱)、★血液流動性の乱れ(瘀血)、★身体の各所の水分バランスに乱れ(水毒あるいは陰分の虚)、★深部体温の乱れ(裏熱あるいは裏寒)、★身体の乾燥度合い(燥湿)の乱れが、複雑に絡み合っているようです。したがって、全身倦怠感といっても個別の対応が必要になってくることが多いです。
 コロナ感染後遺症としての全身倦怠感の方に対して、ちまたでは○〇〇〇〇という漢方薬を飲むと良いらしいといった話が蔓延しており、患者さんがドラッグストアで自己購入したり、医療機関でも〇〇〇〇〇が良いらしいとの情報をもとに、全国的に医療機関において処方が集中したりするようで、漢方メーカーは〇〇〇〇〇を製造するために、他の医療用漢方製剤の生産製造がかなり遅延してしまう状況に陥ってしまい、医療機関で必要に応じた個別の漢方製剤を処方したくても、その医療機関の前年同期での医療用漢方製剤の処方実績に見合った量しか問屋さんから提供されない、非常に変則的な厳しい現状があります。
 そもぞも、コロナ感染の後遺症といっても、様々な身体症状や精神症状があり、全身倦怠感についても、☆胃腸の働きに問題がある場合、☆ストレスで自律神経のバランスに乱れがある場合、☆血液の流れが滞っている場合、☆身体の深部の熱が上がりすぎている場合、☆乾燥が強い場合などなどケースバイケースでの処方選択が必要になってきます。全身倦怠感には、〇〇〇〇〇が効くといったチャート式の考え方ではなかなか効果は出にくく、誘因は一元的ではなく複雑であることが多いです。したがって、人によって使用される漢方製剤はおのずと変わってくるのです。
 自分で出来ることとして覚えておいて頂きたいことは、『養生』になります。日々の生活で出来ることから対処することが要であると思います。
 1.胃腸の働きを改善させる食養生(野菜→タンパク質を7~8割食べた後に→残りのタンパク質を炭水化物と一緒に食べる)、腹八分目で。
 2.便通対策の意味で起床時のコップ半分量のおさ湯飲み。
 3.自律神経のバランスを整えるための腹式呼吸、日付が変わる前の就寝、就寝環境への配慮(真っ暗にして休む、あるいはフットライトは軽めに)。
 4.軽い運動食後の軽作業、軽運動、散歩、ラジオ体操、部屋掃除など)がポイントと考えます。これらの養生を行ったそのうえで、それぞれの方の身体の状態に応じた漢方製剤を医療機関で考えて頂くことが大切だと思います。全身倦怠感の誘因は一元的ではないということ、出来うる養生を行いながら、かかりつけ医に相談なさることが良いのではないでしょうか。

R5年4月 TOPICS
コロナウイルス感染の後遺症

清水医院 今月のコラム

 コロナウイルス感染症の流行も収束傾向を見せ始めましたが、まだまだ気が抜けない状況です。感染対策やワクチン接種の効果もあると思いますが、いまだに散発的な発生状況です。そのような中で、コロナウイルス感染症後の後遺症に苦しんでおられる方々も多くおられます。様々な身体症状、精神症状が単一、あるいは複合的に絡み合って日常生活の質を落としてしまい社会生活に支障を来しています。
 代表的な症状は、全身倦怠感、なんとなくきつい、味覚あるいは嗅覚の異常、息切れ、脱毛、ちょっとした物忘れが目立つようになった、気持ちが沈みやすい、朝起きれない、寝付けない、熟睡できない、微熱が続くなどの症状が多いようです。国立国際医療研究センターからの報告では感染者の状況を調べてみたら、6か月後には26.3%に後遺症の症状が残り、その後さらに1年後には8.8%の方に後遺症の症状がいまだに残っているとの報告もあります。
 コロナウイルス感染の後遺症の方を漢方的に見てみると、胃腸の働きが低下気味(脾虚)、血液の流れがスムーズに流れにくい(瘀血)、自律神経のバランスが乱れている(肝鬱)、身体の各所の水分バランスの乱れ(水毒)、それと身体の深部体温と表在体温の乱れ(寒熱のアンバランス)があるようです。
 コロナ後遺症に対する私見ですが、基本的な対策は、先月のトピックスでも触れましたが、まずは、食事、胃腸の働きが要です。次に排泄、睡眠、適度な軽微な程度の運動が要になるかと思います。様々な後遺症症状に対して、対症療法としての薬剤が投与されているのが現状ですが、『食事、排泄、睡眠、適度な運動により、胃腸の働きを立て直して、自律神経のバランスを整える、つまり腸脳相関のバランスをとり、血液の流れをスムーズにして身体に有害な物質を代謝、解毒、排泄して、身体の各所の細胞の本来持った機能を改善回復すること』が要であると思います。
 私は、病態に応じて漢方製剤を頻用しますが、食事療法も大切です。魚に含まれるDHAが頭に霧がかかったようなブレインフォグに良いようだとの発表もありますが、明確なエビデンスはまだ出ていないようです。コロナ感染の後遺症対策の基本は、『養生あっての治療』だと思います。

R5年3月 TOPICS
皮膚は内臓の働きの鏡

清水医院 今月のコラム

 皮膚病の悩み、コロナ禍の影響もあってか、老いも若きも、女性も男性もお肌のトラブルの相談が多くなってきている印象があります。運動不足や間食の影響もあるかとは思います。
皮膚科で適切な治療が行われてもなかなか皮膚症状の改善が得られない方からの相談のなかで、内臓の働きの乱れが関与していると思われる場合も多いです。ご本人はあまり自覚されていないことが多いようですが、食後のおなかの張り、便通異常、熟睡感に乏しい、些細なことでイライラしてしまい家族と衝突してしまう、女性の場合は月経前の気分不良、イライラ、頭痛、めまい、耳鳴り、便秘、下痢など様々な精神症状や身体症状があるにもかかわらず、ご本人はお肌の不調がメインの訴えで、その他の症状に関しては、少しは気にはなっているけれどもお肌の事への心配が中心になっておられる場合があります。
 食事の内容をお尋ねすると、食抜きしているとか、パンとコーヒー、フルーツ中心とか、カップ麺で済ませているとか、缶コーヒーや清涼飲料水で済ませているとか、3食きちんと食べていない、食抜きしている、炭水化物やフルーツで済ませるなど食習慣の歪があるようです。これらの食習慣は自律神経のバランスを乱してしまい胃腸の働きを損ねてしまい皮膚を丈夫にするために必要な栄養素が消化管から十分に消化吸収されて補給されないことが、皮膚の不調の一因かもしれないこと、さらには栄養素の不足が様々な身体症状や精神症状の誘因になっている可能性もあることを説明し、まずは1~2週間でも胃腸の機能を改善させ身体が要求している栄養環境、腸管環境に近づけるための食習慣の改善、チャレンジをしてみてはどうでしょうかとお薦めしています。
 具体的には、まずは、ビタミンB群の浪費を防ぐ意味で、①血糖の乱高下を防ぐ(野菜→肉あるいは魚→炭水化物の順番での食事→食後に10分くらい身体をかるく動かす(ラジオ体操や散歩など)、②炭水化物や果物の間食はやめる。補食として、アレルギーが無ければ素焼きのナッツなどでしのぐ、③グルテン対策で和食中心(お米や芋中心にしてみる)、カゼイン対策でヨーグルトの連日摂取は避ける、③日が変わる前に、可能であれば早寝早起き(免疫力を維持する意味で副腎機能を元気にする目的)、朝お日様の陽で目覚めることが望ましい。
①②③が実行されると、腸内環境が整いやすくなり、ビタミンB群やビタミンDの環境にも朗報で、皮膚の健全化や自律神経の乱れ(様々な身体症状や精神症状)を起こしにくくするために必要な栄養素が吸収されやすくなります。結果的に、皮膚症状や自律神経の乱れに伴う身体症状や精神症状の改善にもつながります。胃腸の症状や精神的症状の軽快と共に皮膚症状の軽快が自覚される場合もあります。胃腸を丈夫にすることは、皮膚を丈夫にすることでもあります。皮膚は内臓の働きの鏡といわれるのもうなずけることだと思います。

R5年2月 TOPICS
腸内細菌と脂肪酸

清水医院 今月のコラム

 肥満と中性脂肪と聞けば、痩せ願望を連想される方も多いと思います。しかし、身体の大部分を占める中性脂肪はグリセロールと脂肪酸が結合して成り立っています。さて、この脂肪酸には3種類あって炭素の数の多い少ないにより、炭素の数が少ないものから短鎖脂肪酸中鎖脂肪酸、多い長鎖脂肪酸に分けられます。短鎖脂肪酸は酢酸、酪酸、プロピオン酸などが代表的ですが、腸内細菌の善玉菌を増やし腸管の働きをサポートするのになくてはならない脂肪酸なのです。次に、中鎖脂肪酸は皆さんご存じかと思いますが、MCTいわゆるココナッツオイルです。比較的吸収が良くてエネルギーに変換されやすい脂肪酸です。最後に、長鎖脂肪酸はごま油、サラダ油など日常よく使うものです。
 次に、脂肪酸と腸内細菌との関係ですが、人の腸内には、善玉菌、日和見菌、悪玉菌が存在していて、ある一定のバランスによって腸内フローラを形成しています。このバランスが乱れると便秘や下痢、腹痛、腹部膨満などの症状が出てしまいます。短鎖脂肪酸は腸内細菌から作られ、腸内の環境を正常に維持する役目があります。ビフィズス菌はキャベツなどの食物繊維やオリゴ糖を利用して酢酸や乳酸などの短鎖脂肪酸を作り出し、腸内環境整備を行ってくれます
 キャベツとお酢を混ぜた、酢キャベツなどは健康に良いでしょうね。

R5年1月 TOPICS
冬場の上気道感染症後の喉の違和感

清水医院 今月のコラム

 明けましておめでとうございます。寒さ厳しい新年、健やかに過ごしたいものです。今回は、冬場の上気道炎後の頑固な喉の違和感について触れてみたいと思います。一般的な感冒、インフルエンザ、コロナ感染などの感染性疾患罹患後の喉の違和感を訴えられるかたが多いようです。違和感が持続する場合は必ず耳鼻咽喉科や呼吸器内科を受診して検査を受けることは必要です。検査後、治療を受けてもなかなか喉の違和感が改善しない、あるいは検査を受けたが異常なし、しかし症状が持続するといった方も以外に多いようです。このような場合、東洋医学的には、肝鬱瘀血血虚水毒脾虚といった状態が単独あるいは複合的に見られるようです。
 誘因として。ストレスのため首の筋肉の緊張が強くなると喉の筋肉の緊張(肝鬱)が高まってしまう場合、首が前屈しすぎて姿勢が悪い場合は頸部の血流が悪くて(瘀血)喉の粘膜が充血気味になってしまう場合貧血気味血虚)の方は粘膜が浮腫みやすくなってしまう水毒)場合、胃腸機能の低下のため胃酸が逆流してしまう逆流性食道炎の場合脾虚が考えられます。
 対策として、脾虚血虚対策として、まずは3食きちんと食べ鉄分含有の動物性蛋白質(肉魚)や植物性蛋白質とビタミンC、緑黄色野菜を中心とした食生活を心がけること。瘀血水毒脾虚対策として、甘いものや果物を空腹には食べず、食後に食べるように心がけ、糖質摂取後は15分くらい有酸素運動を行うこと。瘀血肝鬱対策として、腹式呼吸と胸を張った姿勢、さらには水毒瘀血対策として、頸部の血流をアップさせる意味でも両手腕をアームウォーマーで温めたり項から上背部を保温することで頸部の血流を増やし浮腫み取りに繋がりやすいと思います。
 長引く喉の違和感は、まずは専門医受診、さらにはセルフメディケーションを取り入れると良いでしょう。