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令和6年度 トピックス一覧

R6年4月 TOPICS
月経前症候群(PMS)と食事、栄養とのかかわり

清水医院 今月のコラム

 季節の変わり目には、アレルギー性鼻炎や頭痛、めまいなどの自律神経の乱れが関わっている疾患が起きやすいですが、月経前に頭痛、イライラ、不眠、倦怠感など様々な訴えを呈する月経前症候群(PMS)の方は、季節の変わり目にはより症状が強く出ておられるようです。
 PMSの方に日常の食生活についてお尋ねしてみると、3食きちんと食べていない、甘い物や果物の過剰摂取になりやすい、炭水化物中心の食事、劣化した油脂を含む食材、早食いなどなど胃腸に負担がかかりやすい食生活の方が多いようです。いわゆる血糖の乱高下を来しやすく、腸内環境を乱してしまう食習慣の方のようです。
 腸内環境の乱れが起こると、お腹が張ってきたり、臭いガスが出やすくなったり、便秘や下痢などの便通の異常を来しやすくなります。善玉菌が減って、悪玉菌や日和見菌が増えてしまいます。ことにカンジダ菌が増殖してしまい、シュウ酸が増加し、ビタミンB6が消費されてしまいエストロゲンバランスが乱れやすくなり、PMS症状が色濃くなりやすいようです。ビタミンB6は身体の中で、脳内ホルモンや性ホルモンなど様々なホルモンの産生や代謝、自律神経のバランス維持に欠かせないものです。
 月経前の様々な身体症状や精神症状にビタミンB6は関わっていますから、ビタミンB6をはじめとするビタミンB群が適正量体内に保持できるように、ビタミンBを無駄に消費させてしまうような食生活は避けたいものです。PMSの予防や治療に食養生は欠かせないと思います。

R6年3月 TOPICS
お肌の手入れに欠かせない食養生

清水医院 今月のコラム

 春先から紫外線や花粉の影響で皮膚や眼や鼻の調子が乱れる方が多いようです。今回は季節の変わり目に注意しておきたいお肌のための食養生について触れてみます。
 皮膚は1か月ごとに皮膚の深部の基底層から細胞分裂しながら押し上げられ核の無い無核化した角質層になり剥がれ落ちていくサイクルがあります。若年者は28日周期で、40歳以上では60日周期くらいで入れ替わっていくようです。このサイクルが円滑に回っていくには食事由来の栄養素が必要になります。皮膚のコラーゲンの材料には蛋白質、鉄、ビタミンB、ビタミンCが必要です。皮膚の基底層から角質層への細胞の分裂と分化には亜鉛、ビタミンAが必要です。皮膚の保湿を維持するにはコンドロイチン硫酸が必要で、肉や魚などの動物性蛋白質や緑黄色野菜やニンジン、シジミやアサリなども必要になります。また、血糖の乱高下を起こさない食事の摂り方(野菜→タンパク質→炭水化物の順番)も重要です。ニキビにはビタミンB2、B6、脂漏性皮膚炎にはビタミンB2、B6、掌蹠膿疱症にはビオチン、しもやけにはビタミンE、色素沈着(炎症後の)にはビタミンCが必要なことが多いようです。動物性蛋白質に種々のビタミン含有の食材、さらには血糖の乱高下を起こしにくい食事の仕方がお肌の手入れに欠かせないポイントであると思います。
きちんとした栄養を考えた食事があって初めて、お肌の手入れの効果が期待できると思います。

R6年2月 TOPICS
疲れが取れない

清水医院 今月のコラム

 季節の変わり目のためなのか、なかなか『疲れがとれない』とお悩みの方が多いようです。様々な医療機関で検査を受けても特段、これといった異常は指摘されずうつうつとして相談にお見えになる方が増えています。このような場合、何かしらの原因あるいは誘因があって『疲れが取れない』、『だるい、重い』といった症状が出ているようです。
 大きく分けて考えてみると、『睡眠』、『食事』、『運動』、『排泄』に関しての問題が関わっているようです。①睡眠不足が続くと深い眠りが得られにくくなるため、前日の疲れを取り除く成長ホルモンがきちんと出ないため疲れが残ってしまいます。また鼻や喉の粘膜が浮腫んでいる方は睡眠時無呼吸症候群の傾向があるため質の良い睡眠が得られにくくなります。②食事に関しては、暴飲暴食の傾向がある方や血糖の乱高下を来すような食事の仕方をする方は、自律神経のバランスが乱れてしまい疲れはとれにくくなります。③運動不足は血液の流れが停滞ぎみになり疲労物質が蓄積し疲れが取れにくくなります。④排泄が滞ると腸内に有害な物質が増えてしまい肝臓で充分に解毒されにくくなり疲れが取れにくくなります。
 集約すると、慢性の炎症、慢性のストレス、血糖の乱高下、体内時計のバランスが乱れたための睡眠不足(夜更かしなど)が原因と考えます。これらの状態に陥ってしまうと、自律神経のバランスを調節してくれる副腎と脳の連携システムの働きが悪くなる、やる気をおこさせるドーパミンというホルモンの異常、細胞レベルで考えると活動エネルギーを作り出すミトコンドリアの機能異常がおこってしまい『疲れが取れない』、『だるい、重い』といった状態になると思います。『睡眠』、『食事』、『運動』、『排泄』を今一度、見直してみることも大切でしょう。

R6年1月 TOPICS
更年期障害に見られるめまい、ほてり

清水医院 今月のコラム

 今回は、更年期女性に見られるめまいについて触れてみたいと思います。めまいの原因には様々なものがありますが、器質的な疾患が関連していないかをチェックする意味で、必ず脳神経内科、あるいは脳神経外科、耳鼻咽喉科での検査が必要です。
 しかしながら、更年期女性のめまいの中には、めまいの専門機関で検査を受けても特段、異常が見られず更年期障害によるもの、あるいは自律神経の乱れによるものと診断され、対症療法で十分な効果が得られない場合もあり、対応に苦慮するケースも多いようです。
 そこで今回は、なかなか改善しにくいめまいやほてりに対する東洋医学的アプローチについて触れてみたいと思います。
 更年期障害に伴うめまいには浮遊性や回転性のものが見られますが、浮遊性のものが多いようです。また、めまい火照り、ホットフラッシュを伴うことも多いです。頭頸部の血流が停滞気味で熱が篭った瘀血、鬱熱)の場合と頭頸部のリンパの流れが滞る水毒)の場合があります。これらの背景には自律神経の乱れ(特に、交感神経の過剰緊張、気鬱、気逆)が関わっているようで、
頭頸部に熱がこもっているケースが多いようです。そこで、頭頸部の血流を改善させるには、熱がこもっている箇所を保冷剤などで冷やすのも一案です。
頭頸部や胸の筋肉の緊張を緩めると頭頸部にこもった熱が解消されやすいようです。専門的になりますが、胸鎖乳突筋や大胸筋、項筋の緊張を緩めることも一案です。
頭頸部の筋肉の緊張が強い場合アキレス腱や腓腹筋の緊張が強い場合がしばしば見られることがあるため、アキレス腱や腓腹筋のマッサージやストレッチが頭頸部の筋緊張を緩めるのに有用な場合もあります。
呼吸法では腹式呼吸によって横隔膜の緊張を緩めて、頭頸部の血流を改善させる方法も一案だと思います。
漢方では、血液の流れをスムーズにする駆瘀血剤筋肉の緊張をとる葛や厚朴交感神経の緊張を緩め気の巡りを改善させる柴胡含有製剤気逆と水毒を鎮める桂枝 + 茯苓の組み合わせなどが挙げられると思います。

 更年期障害に伴うめまいは、ほてりやホットフラッシュを伴うことが多いですが、器質的な疾患が隠れていないかどうかを、まずは、めまいの専門医療機関で検査を受けることが必要です。精密検査の結果、特段、異常が見られず、更年期障害に伴うもの、あるいは自律神経の乱れによるめまいと診断された場合、前述のマッサージやストレッチ、呼吸法、クーリング、漢方治療などケースバイケースで東洋医学的対応を取り入れることも一案でしょう。かかりつけの先生にご相談されると良いでしょう。